お問い合わせから見積、請求、月額課金まで。手作業と属人化で回していた業務を、案件管理システムで一気通貫につなぎました。同業者の方に向けて、その中身と効果を紹介します。
課題|工程ごとにバラバラで、担当者しか分からない
導入前は、お問い合わせ・見積・請求・月額課金を、それぞれ別のツールと手作業でつないでいました。
- お問い合わせはメールで受け、案件化の判断は担当者まかせ
- 見積書はExcelやWordのテンプレートを都度コピーして作成
- 請求書の発行と入金確認は月末にまとめて手作業
- 月額課金の契約は台帳で管理し、解約のたびに手で反映
ツールを増やすたびに月額費用も積み重なっていきます。案件管理ツール、会計ソフト、メール共有ツール。複数のSaaSを併用するコストとID管理の手間は、同業の方なら心当たりがあるのではないでしょうか。
金額や顧客名を工程ごとに何度も入力し直すため、桁の間違いや表記ゆれも起きていました。一つひとつは小さなミスでも、確認と修正の手間として積み重なります。
注意
担当者が休むと見積や請求が止まる。引き継ぎのたびに手順を一から説明する必要がある。これが属人化の一番のリスクです。
案件管理システムで実現したこと
会計ソフトや汎用の案件管理ツールも検討しましたが、見積・請求・月額課金までを一本のデータでつなげる製品は見つかりませんでした。そこで、お問い合わせから月額課金までの5工程を、シマライズで1つのシステムにまとめて開発しました。
| 工程 | 導入前 | 導入後 |
|---|---|---|
| お問い合わせ | メールで個別判断 | 自動登録・一覧管理 |
| 案件化 | 担当者の裁量で判断 | ワンクリックで変換 |
| 見積 | テンプレートをコピー | 過去データから自動生成 |
| 請求 | 月末に手作業で作成 | 案件データから自動発行 |
| 月額課金 | 台帳で手動管理 | 契約情報を保持し自動継続 |
同じ案件データを工程間で引き継ぐため、二重入力が起きません。一度にすべてを切り替えたわけではなく、お問い合わせと案件登録から着手し、見積・請求・月額課金の順で対象を広げました。覚えることを絞りながら移行したのがポイントです。
効果|仕組み化で「対応できる人」が増えた
POINT
工数削減より大きかったのは、担当者の不在が業務停止につながらなくなったことです。
見積作成は以前、経験の長い担当者の勘に頼っていました。今はシステムが過去の類似案件を提示するため、誰でもできるようにすることで、大きく外れない見積を作れるようになりました。請求書も案件データから自動生成され、転記ミスが起きにくくなりました。
月末にまとめて発生していた、請求書と見積の金額照合作業。ここに毎回かなりの時間を取られていましたが、金額をそのまま引き継ぐ仕組みにしたことでほぼ不要になっています。月末に作業だけが重なって、他の仕事を止めてしまうこともなくなりました。空いた時間は、制作やシステム開発など、本来注力したい業務に回せています。
月額課金とメール対応もまとめて管理
案件・見積・請求だけでなく、月額課金とメール対応も同じ画面に集約しています。
- クレジットカードと銀行振込、両方の決済方法に対応
- 請求期限が近い契約や、決済エラーで止まっている契約を自動で拾い上げる
- 顧客とのメールのやり取りを、案件に紐づけて記録
決済エラーは、以前は入金確認のタイミングで初めて気づくことが多く、対応が後手に回りがちでした。今はエラー発生と同時にダッシュボードへ表示されるため、契約が止まったままになるリスクを抑えられています。メールも別ツールを開き直す必要がなく、担当者が変わっても過去のやり取りをすぐに追えます。
権限管理と操作履歴で、任せても安心な体制に
仕組み化を進めると「誰でも操作できる」ことへの不安も出てきます。金額を扱う画面だけに、入力ミスや誤操作をどう防ぐかは避けて通れません。
ユーザーごとに閲覧・編集できる範囲を権限で分け、請求書の発行や契約変更などの操作はすべて履歴に残るようにしました。誰が、いつ、何を変更したかをあとから追えるため、誰でもできるようにすることで、任せられる工程を広げやすくなっています。顧客情報も同じ画面で一元管理しているため、あとから対応履歴を引き継げます。
代表エンジニアが、使いながら育てたシステム
最初から高機能なシステムを目指したわけではありません。代表自身が日々の業務で一番困っていた工程から機能を足し、使いながら直す、を繰り返してきました。
実際に自分で毎日使うシステムなので、使いにくい画面や足りない機能があればすぐに直せます。外部のパッケージ製品にはない、この距離の近さが仕組みの完成度を上げてきたと感じています。
今では、この仕組みを土台にして、同じような課題を抱える同業のお客様向けにカスタマイズして納品することもあります。シマライズで使い倒してきたシステムだからこそ、現場で本当に必要な機能を最初から知った状態で開発を始められます。
「誰でもできる」を、人が増える前につくっておく
シマライズは現在、個人事業として代表1人が中心になって業務を回しています。スタッフがいない今だからこそ、属人化を避けておきたいと考えました。
人が増えてから体制を整えようとすると、日々の業務を止めながら手順を洗い出すことになります。先に「誰でもできる」状態をつくっておけば、必要になったときにすぐ任せられます。仕組みは、人がいない今のうちにこそつくっておけるものだと考えています。
参考までに、意識してきたこと
あくまでシマライズの場合ですが、進め方の一例として参考になれば幸いです。
- 全工程を一度に変えず、属人化が一番強い工程から着手した
- 既存の会計ソフトや案件管理ツールで対応できる範囲を、先に見極めた
- 市販ツールで合わない工程だけ、必要な機能を絞って開発した
汎用ツールは、業種や工程によって合わない部分も出てきます。そこだけを狙って作ると、開発の規模も費用も抑えやすいというのが、実感です。
まとめ
お問い合わせから月額課金までをつないだことで、属人化していた業務を仕組み化できました。工数削減以上に、対応できる人が増えたことが一番の成果です。
「担当者に聞かないと分からない」状態は、規模が大きくなるほど重くのしかかってきます。同じように工程ごとの手作業を抱えている同業者の方の参考になれば幸いです。
今回の仕組みをベースにした導入事例は、下記からご参照ください。

